改正労働基準法④年次有給休暇の時間単位付与制度の創設

年次有給休暇の最低単位は、これまで原則として「1日単位」で、労働者の請求により半日単位で付与することを妨げないとされてきました。

今回の改正で、労使協定を締結した場合は、年次有給休暇日数のうち5日を限度として時間単位で付与することが可能となりました。

(1)対象労働者の範囲
対象労働者の範囲を「全員」とすることも可能ですが、「一斉に作業を行うことが必要とされる業務に従事する労働者」、フレックスタイム制や裁量労働制が適用される場合は、馴染まないと思われます。
また、管理監督者について、時間単位で勤怠管理することはやはりそぐわないでしょう。
通達も対象労働者の範囲を明確に定めるよう求めています。

(2)時間単位として与えることができる有給休暇1日の時間数
改正省令では、「1日の所定労働時間数を下回らない」よう定めています。
1日の所定労働時間が8時間の場合は8時間以上、所定労働時間7時間30分の場合も8時間以上となり
ます。これは時間単位ですから1時間未満の端数が切り上がるためです。
所定労働時間が7時間30分の場合、1日単位で付与する場合は、7時間30分の勤務を免除することで
よいのですが、時間単位で付与する場合は8時間の免除で有給休暇1日を消化したことになりますので、
使用者にとっては30分不利になります。

(3)1時間以外の単位で付与することは可能か?
改正省令では、「1日の所定労働時間数に満たないものとする」としていますので、1時間から所定労働
時間未満までの設定は可能
です。
所定労働時間8時間の場合ですと7時間が上限になりますが、実際には4時間(半日)や2時間(4分の
1日)の単位が現実的ではないでしょうか。

(4)時季変更権は行使できるか?
時間単位年休にも時季変更権は行使可能です。しかし、「事業の正常な運営を妨げる」という基準は変わ
りませんので、かなり限定されると解釈すべでしょう。
通達により次の時季変更権の行使は禁止されています。
 a.時間単位の請求に対する日単位への変更
 b.日単位の請求に対する時間単位への変更


(5)時間単位年休の賃金就業規則等の定めにより、次のいずれかの方法によって支払わなければなりません
 a.平均賃金÷その日の所定労働時間数
 b.所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金÷その日の所定労働時間数
 c.標準報酬日額÷その日の所定労働時間数

(6)禁止事項他
労使協定において次のようなことを定めることは認められません。また、時間単位年休は、計画的付与の対象とはなりませんので、ご注意下さい。
 a.取得できない時間帯を定めること
 b.所定労働時間の中途の取得を制限すること
 c.1日の取得時間数の制限

従来からある半日単位の取得は認められており、その運用には労使協定は必要ありません。
これまでの制度の概要を考えますと、労使協定を締結し、就業規則を変更してまで、事業主側から積極的に導入する理由は見あたらないと思います。

by e-roumu | 2009-08-03 02:20 | Trackback
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